第一章

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首都の中央にある一際大きな建物。高い塀に囲まれていて、外からはあまり見えないが外装はとてもきれいで、街の雰囲気を壊すことなくそびえ立っている。 その建物の第二棟、その最上階の一番奥の部屋では一人の少女が執務机に向かっていた。 彼女はアリシア。この強者揃いの軍の戦闘部のトップに君臨している。『黒の女王』と畏怖されているアリシアだが、人望は厚く自隊の隊員はもちろんのこと、市民達にも人気がある。 コンッコンッ 堅く閉ざされた扉を少し遠慮がちにノックする音を聞いたアリシアは首をかしげた。何故なら、彼女の部下がノックするともっと豪快な音がするのだ。 不思議に思いながらも声を掛ける。 「どうぞ」 「し、失礼します。情報部の者です。…えっと…隊長から手紙を預かってまいりました」 必死に伝言を伝えようとしている情報部の女隊員。 自分に対してこれだけ緊張しているということは、きっと新人なんだろうとアリシアは思った。 「ありがとうございます。じゃあ、その辺りに置いといてください」 「は、はい!それでは、失礼します」 「えっ!?ちょっ…!」 逃げるように去って行った女隊員。 「お茶にでも誘おうと思ってたのに…」 アリシアの言葉は誰にも届くことなく消えていった。
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