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「とりあえず、手紙読もう」
そう思いアリシアは手紙の置いてあるところへと向かい手紙を取ると、近くにあるソファーに腰かけた。
手紙の送り主は、グレイという情報部の隊長からだ。
グレイはアリシアより二つ年上で、幼い頃から仲が良い。いわゆる、幼なじみというものだ。
「…これ、手紙書く必要ある?」
手紙の一枚目を読んでいたアリシアの第一声はそれだった。
手紙には、仕事がキツイだとか、副隊長が休ませてくれないとか、愚痴しか書いていなかった。
「(全く、グレイは…)」
心の中で呆れながらも、微笑みながら、楽しそうに手紙を読んでいた。
アリシアとグレイ、そして先ほどの女隊員も所属するこの軍。全六部で構成されている。
本部のお偉いさん達がいる司令部。
アリシア率いる戦闘大好き集団の戦闘部。
グレイが隊長を務めている情報部。
おっとりした性格の持ち主が多い医療部。
内気な人の集まりの暗殺部。
入隊志望を育てる、鬼教官揃いの教育部。
多くの人が自分の性格や元素でどこに入隊するのか決める。
元素とは、生まれながらにしてその人の中に宿っている、魔法の基礎となるものだ。
元素は四つある。火・水・木・空気これらの元素は基本的に一人一つ。
ただし、例外として、最もレアな元素・空気を持つ者のみが、他の三種のうちから一つ持つことが出来る。空気の元素の持ち主はこの世に三人しかいないと言われている。
アリシアはそのうちの一人だ。
クスクスと笑いながら手紙を読むアリシアは、どこにでもいそうな只の少女に見える。
コンッコンッ
再び扉を叩く音が部屋に響いた。
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