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アリシアのドヤ顔を見て、レンは今日何度目かもわからないため息をもらした。
「ところで、どちらからのお手紙で?」
「グレイだよ。リズが休みをくれないらしいよ」
「あのお二人は…仕方がないでしょう」
脳内にグレイとリズのやりとりを思い浮かべる、レン。
ちなみに、リズーリズベットはグレイの部下で、情報部の副隊長だ。
アリシアやグレイよりも年上のはずなのだが、性格が少し幼いというか、見た目よりも若いのでグレイとは衝突してばかりだ。
「いつものことだし、心配もしてないんだけどね」
パタンと手紙を閉じて、元の封筒に戻し、アリシアは立ち上がった。
そして、すぐ近くに掛けてあった黒を基調とする軍服をキッチリ着こなす。二本の剣を携え、最後にお気に入りのマントを羽織って、鏡の前に立つ。服の乱れがないか確認をすると、レンの方を振り返った。
「それじゃあ、今から定例会議があるから、行くね」
「はい。いってらしゃいませ」
「堅いなぁー…。あ!それから、皆に何があってもいいように準備しておけ、って伝えてくれる?」
「と…申しますと?」
レンが何かあるのかと言いたげな表情で聞き返す。
それにアリシアは、窓の外ー東の方角を見据えながら「少し……ね」と口を濁した。
レンは、アリシアが言うのだから何かあると感じ、強い口調それでいて静かに返事をした。
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