第一章

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アリシアのドヤ顔を見て、レンは今日何度目かもわからないため息をもらした。 「ところで、どちらからのお手紙で?」 「グレイだよ。リズが休みをくれないらしいよ」 「あのお二人は…仕方がないでしょう」 脳内にグレイとリズのやりとりを思い浮かべる、レン。 ちなみに、リズーリズベットはグレイの部下で、情報部の副隊長だ。 アリシアやグレイよりも年上のはずなのだが、性格が少し幼いというか、見た目よりも若いのでグレイとは衝突してばかりだ。 「いつものことだし、心配もしてないんだけどね」 パタンと手紙を閉じて、元の封筒に戻し、アリシアは立ち上がった。 そして、すぐ近くに掛けてあった黒を基調とする軍服をキッチリ着こなす。二本の剣を携え、最後にお気に入りのマントを羽織って、鏡の前に立つ。服の乱れがないか確認をすると、レンの方を振り返った。 「それじゃあ、今から定例会議があるから、行くね」 「はい。いってらしゃいませ」 「堅いなぁー…。あ!それから、皆に何があってもいいように準備しておけ、って伝えてくれる?」 「と…申しますと?」 レンが何かあるのかと言いたげな表情で聞き返す。 それにアリシアは、窓の外ー東の方角を見据えながら「少し……ね」と口を濁した。 レンは、アリシアが言うのだから何かあると感じ、強い口調それでいて静かに返事をした。
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