第一章

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少し時を遡ること数十分前。まだアリシアが一人で手紙を読んでいた時のこと。小さな異変の始まりは教育部で起きた。 「第一班!整列!」 教育部の隊長自らが、未来の軍の要となるであろう人材を指導いていた。これから起こるであろうことなんて知らずに。 「発射よーい」 「…発射!!」 そう部屋に声が響いた瞬間、一列に並んだ生徒達が一斉に数十メートル離れた的を狙って攻撃を放つ。攻撃といっても元素を使った初歩的な技で、元素の力を手のひらの上で小さな球体にまで圧縮し、それを的まで届かせるというものだ。しかし、ここには訓練生しかおらず誰一人として期待を裏切ることなく的を外していた。 「ごらぁ!貴様ら!的に当てろとあれほど言っただろうが!」 そして、それを見てみぬ振りを微塵も見せない鬼教官。ここにいる全員が思ったことだろう…『鬼教官』それはこの人の為にあるんじゃないだろうか…と。 「ったく…。それじゃあ、第二班! せいれ…っ!?」 突然切れた鬼教官の怒号。不思議に思った第一班班長が振り返った瞬間、ドサッと何か重たいものが落ちたような音がした。 「隊長!?」 音の原因はすぐにわかった。先ほどまで元気だった隊長が倒れていたのだ。さっきまでとはうって変わって、真っ青な顔の隊長。息遣いも荒く、生徒達は焦るばかり。 そんな中でも冷静さを見失わず、第一班班長は自分のもう一人の上司である副隊長に連絡するという起点を利かせた。
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