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もう会えなくなって何日も経つけれど、慣れてしまえば大丈夫。
そう思うようにしていた。
だってそう思わなければ潰れてしまうから。
会えなくなってから今まで、本当は会いに行こうと思えば、いつでも会いに行けた。
そして久しぶりに会った時、毎日会えていた時よりも笑顔で挨拶出来ると思っていた。
でも、会いに行かなかったのは、自信がなかったから。
不安だったから。
「もし気付いてもらえなかったらどうしよう」
「素っ気ない態度をとられたらどうしよう」
「それ以前に、どんな顔をすれば良いのだろう」
「会ったら絶対に切なくなる。泣きたくなるかもしれない」
怖い。
だから、あの場所には近付かなかった。
それなのに、今日はあの場所に行かざるを得ない状況になってしまった。
絶対に会いたくなくて、出来るだけ速く用事を済ませようとした。
でも、不意に聞こえたしーさんの声。
気が付いた。
私は、私が思っていた以上にしーさんに会いたかったんだ。
会って、例え緊張して声が小さくても挨拶をしたくて、笑顔が見たかった。
でも
声が聞こえない所に行こうとしたけれど、やっぱり聞きたくてその場に居続けた。
久しぶりに声を聞いただけで、胸が締めつけらた。
私がいた場所は、しーさんの姿は見えないけれど声が聞ける場所だった。だから良かった。
元気そうな声。
楽しそうに仕事をしている声。
良かった。
切なくなったけれど、元気だと分かったから嬉しかった。
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