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俺は厩舎での仕事に一生懸命努めた。
裕福になるために臥薪嘗胆することが、俺にとってこの集落での存在意義を誇示するようなものだからだ。
その為なら如何なる艱難辛苦も厭わない。
厭世家である俺は人々の目につかない隘路を縫うように、家路へと歩を急ぐ。
「……!」
大変だ。
家の前に破落戸(ゴロツキ)の集団。
その男達は腕に私の子を抱えていた。
「ま、まてっ!」
気づいたら俺を声を大にしと叫んだ。
──こちらを睨んでくる。
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