不思議な出会い

2/6
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
今日でもう40回目の誕生日。 そうか…………もう40になるのか、と。 俺はため息を吐きながら思う。 今更祝ってくれる人もいない。 未だに独身で、只のサラリーマンで。 こんな俺を、想ってくれる家族もいない。 一人きりのいつもの部屋で、窓の外を見つめながらタバコを吸う。 なんだか最近は、すっかり毎日がつまらなくなっていた。 いつも、おんなじ様に会社に行き、おんなじ様に働いて、おんなじ様にこの寂しい部屋に帰ってくる。 こんな人生、本当につまらなくて、 物語にしたって、絶対に売れやしない。 そんなくだらないことを思いながら、ただ、ぼーっと、 窓から見える夜空を見つめていた。 <ピピピピッ> 突然携帯が鳴った。メールだった。 「なんだよこんな時間に…………」 どうせ会社絡みだと思いながら携帯を開く。 だが予想外だったその内容を、俺は思わず二度見した。 「私、今近所の公園にいるの。」 ここまではいい。だが問題はその続きだ。 「助けて」 いくつか改行がなされて、たった一言。 只の悪戯メールかと思った。しかし、その直後にまたメールがきた。 「助けて」 今度は、たった一言。 怖くなって、それでも気になって。 俺は、真夜中の街を走り抜けた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!