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そして、あっという間に夜が来て、勤務時間も終わり、俺はいつもの寂しい部屋に帰る。
だが今日は、寂しいはずのいつもの部屋に、女の子が一人、ちょこんと座って待っていた。
「…………え?」
俺が疑問の声を上げると、女の子は言う。
「さぁ、願い事を!」
ここまでくると押し付けだな…………。
そう思いながら俺は答える。
「あのね、たった一つだけの願い事なんてそう簡単に決まるものじゃないんだよ?」
普通そう言うものだろう。
そして俺は続ける
「ねぇ君、お家は?」
迷子なら、親が探しているだろうし、この子はパッと見5歳の女の子だ。
そうだきっと、只の迷子だろう。
俺はいつしか、自分にそう言い聞かせていた。
ふと女の子の顔を見ると、女の子は少し悩んだ後、口を開く。
「じゃあほら、毎日をとても刺激的な物にする。とかはどうですか?」
なんだそれは。
いきなりすぎて、俺には理解出来なかった。
「どういう事だ…………?」
無意識に聞いていた。
女の子は答える。
「うーん…………まぁ、あまり刺激的すぎてもアレだし、恋人を作るとか?」
「ますます意味が分からない…………」
俺が思わず呟くと、女の子はくすりと笑って返す。
「なんて、あくまで一例ですよ一例!本当に叶えたい願いが出来たら、私を思い出して下さい、いつでも叶えてあげますから!」
言い終えるや否や、女の子は光に包まれて消えてしまった。
まるで、夢を見ていた気分だった。
うん、きっとこれは夢だ。夢なんだ。
そう言い聞かせて、俺は眠った。
あ、晩御飯食べそびれたな…………
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