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(この子ったら…、しゅ・しゅごいじゃないっ!!)
曲が、旋律が、心を撫でる様な…。 感動か、ゾワゾワ…ゾクゾクと肌が色めき立ったのが解った。
私が何も言えずに立ち尽くしてしまう中。 夕陽が落ちて部屋が暗くなった頃、彰檎君はその手を止める。
「このピアノ凄い…、なんで手離したんだろう」
と、彰檎君はピアノを見つめて言うのだ。
それより、彰檎君にゆっくりと近寄った私は、彼を横からいきなり抱きしめてしまった。
「こらーーっ!、なんでもっと早く言わないのっ!!」
「えっ!?」
「こんなにピアノ上手いだなんて勿体無いでしょ!! 言えば楽譜とか買ったのにっ」
「だ…だって、ピアノは高いんですよっ? …学費出して貰って、そんなピアノや楽譜だなんて…」
困る彰檎君に、そうゆう問題では無いと云う私。
こうして私は、ピアニストと住む事に成った。 …可愛いらしく、いじらしいピアニストで有った…。
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