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「彰檎君、大丈夫だって…あふ~」
朝からぐったりする私を、彰檎君はかなり心配した様で。
“杏子さん、病院に行きますか?。動けない様なら、救急車呼んだ方がいいでしょうか?”
と、言ってくれる。
(ま、40℃に後2分だもんね~、自分でも心配だわ)
結局は、午前中に彰檎へ付き添って貰って、病院に行って来た。 その日は、彰檎に世話になりっばなしとなったのだが…。
「ありがとうね。 彰檎君が居てくれて助かったわ」
しかし、世話してくれる本人は、心配な面持ちでお粥をくれたり、薬と水分の用意と至れり尽くせり…
「彰檎君、少し休んでいいよ。 マジで働き過ぎよ~」
ベッドの上で手をひらつかせる私だが、彰檎は頷くだけで、また洗濯に行く。 やはり、病気を患った母親の世話をしながら生きて来た所為もあるのだろうが、仕事のこなしは早いし要領もいい。
(う~ん…。 ウチの若いヤツに彰檎君の爪の垢でも…って、彰檎君に爪の垢なさそ…)
下らない事ばかり考えているウチに、昼下がりでウトウトして寝ていた。
どれくらい寝たか…。 フッとおでこのタオルが取れて、また濡らす音が…
(ん?)
薄目開けると、彰檎君だった。
(細やかで、優しいエエ子だわ~。 前の旦那がアホに思える)
タオルを私の額に乗せ、着替えの用意に入る彰檎に向かって、私は言ってみた。
「彰檎君は…お母さんの面倒をず~っと見てたの?」
彰檎は、私が起きていた事にびっくりしたらしく。 パッと振り返り…。
「えっ? おっ起きてたんですか?」
「ま~ね~。 可愛い彰檎君の介抱姿見ようと思ってさ~」
「そ…そんな…」
彰檎は、横向く形で眼を逸らす。
私は、汗だくに成ったので、
「若者よぉ~、お着替えくださいな~」
彰檎は、びっくりしたように頷いて、服を出してくれる。
「んふふ~」
意味深に笑う私へ、着替えを持って彰檎君は向くと。
「少し元気になりましたね」
「そ~ね、優しい彰檎君のお・か・げ」
と、私が笑い掛けると、彰檎は恥ずかしそうに横を向く。
(う~ん…、可愛いな~。 従姉弟ながら堪らない)
と寝間着のボタンを外す中で。
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