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【愛するということ/valentine】
「ん。」
と右手に握った小さな袋を前に突き出す。
「え…」
ぽかんとルークは口を開けて手を俺っちに向けて出す。
その手の上にその袋を落とした。
「え、ええ、何これ」
「なにって…バレンタイン…チョコレート食べられるかわからなかったから、クッキーにした、よ。別に、いらないなら、捨ててもいいし…」
目を下に向けながら俺っちはただひたすらつらつらと言葉を吐き出す。正直、自分もわかっていない。今までバレンタインという日にわざわざ贈り物を贈るという事をしなかった。何が正しいのか、間違っているのかもいまいちわかっていない。
「先生」
ルークの声が聞こえた。
「…なにってハナシ」
俺っちはそっと顔を上げる。
「ありがと」
あんまりにもルークが優しく笑うものだから
「…どう、いたしまして」
こちらまで少し照れてしまった。
(幕)
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