八月十五日

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昼飯が喉を通るとも思えなかったので、気分転換のつもりで外に散歩に出た。 病気になりそうな程暑い日差しを真上から受ける。 寝起きの身体には相当堪える熱気だ。 しばらく歩くと馴染みのある公園が見えた。 これから特にすることも思い付かないので、とりあえず中に足を踏み入れる。 すると、ブランコに見覚えのない少女が腰を下ろしているのが見えた。 その少女は地面をぼうっと見つめながらきぃきぃとブランコを揺らしている。 「隣いい?」 僕はいつの間にか彼女に話しかけていた。 彼女は僕に気付き、すっとこちらに振り向く。 特に驚く様子もなく、 「いいですよ」 と僕に笑いかけた。 僕は彼女の隣に腰かけ、きぃきぃとブランコを揺らしてみた。 懐かしい。
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