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「あなた、名前は?」
ふと、彼女から質問が飛んできた。
僕は段々とこぐ勢いを増していき、高度を上げていく。
「とうま」
一番高い位置に到達したところで満足し、勢いを抑えていく。
「君は?」
「みく」
間髪入れずに返事がきた。
「とうま君は夏が好き?」
また唐突に質問がきた。
僕はみくと同じ高さになった。
「……好きでも嫌いでもないけど」
ちょっとだけ考えてみたが、僕には特に好きな季節も嫌いな季節もなかった。
「そっか。私は嫌いだな、こんな暑いの。虫も多いし」
みくはふてぶてしく呟いた。
にゃーん。
黒猫がみくの足元に寄ってくる。
一体どこから現れたのか。
「よーしよし、おいでー」
みくが手を差し出すと、黒猫は真っ直ぐにみくを目指してやってきた。
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