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みくも猫につられて走り出す。僕もその後ろに続く。
「猫ちゃん、そっちは危ないよ!」
猫は迷うことなく真っ直ぐ歩いていく。
まるでついてこいと言うかのように。
みくが猫に追いついた。
猫を拾い上げようとしたその時、
ばっと通ったトラックが彼女をさらった。
僕の視界は赤く染まった。
トラックが彼女の身体を引き摺り鳴き叫ぶ。
返り血を浴びる横断歩道、赤の歩行者信号機、トラック、
そして僕。
血飛沫が僕の顔にかかり、彼女の香りと混じってむせ返る。
嘘みたいな一瞬の出来事だった。
信じたくなくて、助けを求めようと辺りを見渡す。
何かがいた。
陽炎?
目を凝らしてその影を見た僕は背筋が凍った。
「僕」だった。
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