2人が本棚に入れています
本棚に追加
ハーブティーを飲んだ彼はせき込み、口に合わないと言っていた。
その後、粗茶というものを飲ましてもらった。
苦く、味もよく分からないが、私にはこっちのほうが口に合う気がした。
茶を飲み終えると私は言った。
「そなた、私に農業を教えなさい?」
まさかの言葉に驚いた彼は、つい私の顔を見つめてしまった。
またすぐに背けてしまったが。
「それはいけません…もしも父上様に見つかってしまったら、どうなるか分かりませぬ…」
「いいの!私が決めたの!それと、そなたと夫婦となる故、今日私の家に参るのですよ?」
私がさらっと言うと、彼は洗っていたカップをレンガが敷き詰められ、その真ん中に小さな穴が開いた洗い場に落とした。
カップが割れる音と、彼が勢いよく振り向いた音が私の耳に届いた。
「姫様!なんということをおっしゃいますか!!なりません、僕なんかが釣り合う訳」
「どうして!人間じゃない‥私達、人間同士がなんで釣り合わないの!?そんなのおかしいよ!」
「もう、お帰りになって下さい‥」
彼の表情は見えなかった。せっかく、ほんの少しだけど、彼と目を合わせることが出来ていたのに…
また2人の距離は、遠ざかってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!