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私は仕方なく彼の家を出た。
私は姫様なのに、何故手に入らないものがあるのだろうか。
それなら、姫に生まれなかったら良かったのに…
私はそう思った。
自分の家に帰ると、父上は怒っていた。
しかし、私が「夫婦となるべきお方を見つけてまいりました」
と言うと、父上の表情は和らいだ。父上は昔から、私に夫婦になり、早く跡継ぎを産むよう焦らせていた。
しかし、一向に焦らない私を見かねて、父上は私の夫候補をいくつも見つけてきたが、それを私が断り続けたのだ。
「ほほう、どこの貴族だ?リンダ家の息子か?それとも」
「ただの街農民にございます。父上、お願いでござます!私とあの方を」
私は土下座をしていて気づかなかったが、父上は相当怒っていたようだ。
「ふざけるな!身分が違いすぎる!!誰だその身分知らずの馬鹿者は!釣り合う訳無かろう、そんなもの家の恥だ!!そうか…分かったぞ‥昨日、お前にしがみついてきたという小僧か!!側近から話は聞いたぞ!」
「お願いします!!身分など関係ございません、違いますか?父上、同じ人間ではありませんか!」
声が聞こえないと思い、顔を上げると父上はいなかった。
側近の一人が私に近づき、明後日までに身分が釣り合う人物を連れてこなかったら、彼を死刑にすると言った。
その側近は難しい顔をしていた。本当は彼も嫌なのだろう。
そして、その側近はつけ加えるように私の耳元で囁いた。
「1年後、彼と逃げなさい‥明日は不可能です‥この家からは蟻一匹出られません、明日父上殿が、姫様に貴族を紹介致します‥この意味、頭が良い姫様ならお分かりになられるでしょう?彼に手紙を書きなさい、明日私が隙を見て彼にお届けします。」
私はその提案を承諾した。
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