地獄の訓練

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「早く奪い返してこい」 「わかってるよ」 親父に背中を叩かれ、階段を降りる。 「あ、そうそう・・・」 「ん?」 「ここに居る連中はお前より強い奴らが多いから、気をつけろよ?」 「は?」 「忠告はしたからな」 「・・・」 親父はニヤリと笑うと、部屋の中に戻って行った。 てか、俺が居た部屋はアパートだったんだな・・・ さっきまで居た部屋以外は入れそうに無いな・・・ 「そんな事より服だ」 もう少しで夏休みになるみたいだが、流石にパンツにコートはヤバイ。 さっきから、チクチクするし・・・ とにかく、俺の服を奪った奴を見つけないと・・・ とりあえず俺は、服を奪ったクソを探して歩き始めた。 「ん?」 何処からか、声が聞こえる。 しかも、限りなく悲鳴に近い声・・・ 俺はなるべく音を出さない様に、悲鳴がする方へ向かった。 「いやぁ!!」 だんだんと、悲鳴が聞こえてきた。 「ひゃはははは!叫んでも無駄だぁ!!ここは何でもありな場所だからなぁ!殺しも盗みもレイプも!!」 「離して!!」 声からして、女が襲われているのが分かる・・・ 俺は、女の悲鳴を頼りに見付けた。 服がビリビリに破られている最中の十代くらいの女に、三十代くらいのおっさんがいた。 まさか、現実でこんな場面を見るとは思わなかった・・・ 気に食わないな・・・ 邪魔してやるか・・・ 俺はおっさんを邪魔しようと、飛び掛かろうとしたが、親父に言われた事を思い出して止まった。 「俺より強い奴らが沢山居るか・・・」 確かにその通りかもしれない・・・ 何故女が悲鳴が上げているのに、誰も来ない? もし、俺ならばおっさんを倒して女を手に入れると思うが・・・ 何故、誰もそうしない? 答えは簡単・・・ あのおっさんは物凄く強いから、誰も手を出せない・・・ 恐らく俺の様に女の悲鳴を聞いて来たが、強い奴がヤっているみたいだから、他に女が居ないか探しに行った・・・って、所か? なら、俺もそうするかな・・・ ここは、何でもしてもいい場所なんだろ? なら、俺も好きにするとするかな・・・ 俺はその場を去ろうとしたが、おっさんの近くに置いてある服を見付けて、立ち止まった。 あれは、俺の服だ・・・ あのおっさんが盗んでいたのかよ・・・ これは、見逃す訳にはいかないな・・・
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