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そんなこんなで、廊下から綺麗に人が消えたし何なら上下の階に散る際、4階に祟り神サマが!!とか言いながら駆けてったので暫くは誰も来ないと思う。ナニコレ
シーンっと静まり返った廊下にカサカサという草の音だけが響き渡る。ホラーだと思う。目指すは4階のお手洗い。個室に入り込んで、ささっと脱いでしまおうという考えだ。
個室、個室なので…もしかしたら
4階の中央付近にあるトイレに草を纏う祟り神様が到着。耳を澄ませて…誰も居ないかを確認するが、特に音もしないので入店。カサリとゆっくり個室に向かうが、その途中
「……っ…」
「シーッ……」
近付かないと分からないくらいの、微かな布の擦れと息遣いが聞こえてきた。やってんな!これはやってんな!!どうしよう!!カサリカサリで気付いてるよね?と思っていたのだが
「ん゛ーッ………ゃだ」
「チッ…声出すな……痛えのは嫌だろ」
「………っ」
雲行きが怪しいが、こういうプレイも中にはあるにはあるの…だけど?どうすればいいかと立ち竦む草の塊。呼び方が迷子。
「おね、が………やめっんぐ」
「黙れ」
「やっ!離して、だれか、だれか…たすけ」
「ったく、仕方ねえな…このままやるか」
「ひっ……」
暴れているのかガタガタッと物音、明らかに同意ではない台詞も聞こえてきて俺の表情は引き攣っている。例えプレイだったとしても、だ、聞いてしまったのだから放っておけはしない。
静かに隣の個室に入り、座の蓋を閉めてその上に足をかけるようにして跳んだ。ふわりと草が舞う、そしてガシッと隔てる壁の縁に手が掛かる…そしてそのまま覗き込む ※良い子は真似しないように!覗きはダメ絶対!
「?」
「……ふあ?」
個室の中で金髪の悪ガキ風な奴に押さえつけられて、小さい可愛い子…あれ?見たことあるピンク色の髪、で目も同じ色の…確か、新谷…双子のお兄ちゃん、和紗くん…?俺の親衛隊の子だ。(89頁登場)
まさかの知り合いという展開に一瞬時が止まってしまったが、金髪野郎が上を向いてきたので
『祟っでや゛る゛ゥああ゛あ゛』
出来うる限りの濁声を発し、今にも乗り込んでいきそうな程前のめりに見下ろした。姿勢がとても辛い。下からだと影になって全体的に暗く見えるだろうからホラー感は増すと思われるが、どうだ?
「…………」
「…え、……あ、あの」
「…………」
「???」
和紗くんは困惑して金髪野郎と俺を交互に見ている。その、金髪野郎は無言でこちらを見ているだけなのだが、一向に動かない。はて?と思い、もう一押し
『ブワァ』
典型的なオバケの脅かし方だが、通用するかどうか…
「………」
「…あの、祟り神…様?多分、気絶して…る?と思います」
白目を剥いて泡を吹き始めた金髪野郎。唖然とする祟り神様に恐る恐るといったように教えてくれた和紗くん。シュールである。
え?何、気絶してるの?フアーーッ
『……弱ッッッ』
「!…あの、もしかし」
『あああ!ごめんね、ちなみにだけど同意じゃなかったよね?大丈夫、じゃないか…ちょいと待ってね』
「え、あ…!同意では、ないです…」
金髪野郎のことよりまずは和紗くんのことだ、と何か言いかけてたのに被せてしまったけれど。急いで扉のところまで伝っていき、逆さになりながら鍵を開ける。我ながら奇妙な格好である。和紗くんに頼む事も出来たが気絶した金髪野郎が邪魔だろうからね。
これ他に誰も居なくて良かった、だって個室に張り付きながら動いてる草だよ?不気味すぎる…
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