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ー残された俺はというと。非常に居心地が悪い。なんせ、見渡す限りの、石…
『盗まれたりしない…のか…いや、まあ金には困ってない生徒だらけか…』
所詮金持ち学園とはいえ、不用心だけど!まあいっか!
立っているままではアレだから、奥にある黒いソファに座ることにした。
『うわ、無駄に座り心地がいい…視界は居心地悪いのに…』
思っていたより大きいソファーは、自販機身長の人が寝そべっても余裕がありそう。落ち着いた黒のソファー、訂正ソファーベッド。3人掛けくらいの幅がある。いやこれは寝てしまうわね。座った重みで少し反発するような程よい硬さで、沈みすぎないけど柔らかさはある落ち着けるタイプ。俺は好きだな…
慣れつつはあるけど、このデカソファ運び入れたのは業者さんかな?いやまじなんでもありだな?
『色々あったせいか、座った途端疲れが押し寄せてきたかも……このソファー気持ちいいな…』
ボーっと天井を見上げて、鬼ごっこ中とは思えない静けさ…静か…?あ、もしかして防音になってる…?あ、防音だわ…いや何この快適空間…(視界を遮断すればだけど)
ふわふわと眠気が緩やかに襲ってきて、目をシパシパさせ頭はコクリ、またコクリと上下してしまえば限界になり
そのままソファにずるずると横に倒れてしまう。
少しして、スースー…と寝息が聞こえて完全に寝てしまった。無防備なるその姿は、果たしてこのまま捕まらずに勝利を掴めるのか……否、そうは問屋が卸さない。それは浦瀬夕がよく分かっていることであったが、眠気に勝る者はない…
「ここに人を連れてくるなんて…」
「どうして、どうしてっ」
「静かにしろヨ、ナァ…いじめちゃう?ズルいジャン?ネ」
「「涼音様(スズネチャン)親衛隊幹部(カンブ)として成敗す(ス)」」
翡翠部屋ドア前から声がする。スヤスヤと気持ちよく寝入る夕に忍び寄る怪しい2人の人影が迫っていた。
他教室同様の引き戸がゆっくりと、音を立てずに開けられていく。そして中に入ると同じように静かに閉める。ソファーで寝ている夕の反応はなく、2人が忍び足で近づいていく。
「ねぇ、寝て…」
「シッ…都合イイじゃん?ホーラ、縄持ってるヨ」
寝ていることに気付き、声を潜め1人がジャージのポケットから細めの縄を取り出した。
「は?なんで持ってるん…」
「ナントナク、てか、地がでてんゾ」
「意味わかんない…」
「さっさとヤンぞ」
長身で独特な話し方の1人が縄を夕に近付ける…すると
『…ぅ……ん』
「「!」」
『…………ウコン……スヤ…』
身動ぎをしたため起きたかと、2人は身構えた瞬間聞こえてきた寝言にそれどころではなかった
「っ!……ふっ…!」
「……ク……」
「ウ、ウコンッッッッッッ」
「ヤメ、オイ、つっっオチツケ」
「そっちだってプルプルしてんじゃん…!」
「武者震いダゼ…スゥッ」
夕の寝言により腹筋が崩壊しそうになるのを必死に堪えている。必死に、腹抑えながら震えてる。ウコンなる寝言を発した当人は我関せずとばかりに安らかな眠りについていた。
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