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黄髪黄眼。皮肉めいたその口調。似ているのは姿だけでその性格は違う。
「ねえ。聞いてるの?」
黙って入れば調子に乗って蹴り付けて来る。ソラは、咳込んで立ち上がる。
「しらね」
ソラは、反抗して殴り掛かる。住民はそれを見ない振りする。兄弟喧嘩の範疇で終わらせる。
ヒカリが、楽しそうにソラを追い立てる。監獄島の中心に聳えるバル山がある。山道に人は居ない。
二人は、山を舞台に殴り合う。朝も昼もどちらかが、動けなくなるまでやりあう。
だが、ヒカリの様子が少しおかしい。ソラがそのことに気づいたのは、一向に留めを刺してこなかったからであった。
起き上がり、ヒカリと距離を取る。それにも関わらず、ソラの懐に間髪入れずに蹴りが入った。力に押し任されたソラは、吹き飛ぶ。本当にどこでこんなに力の差が出たのか不思議な話であった。
フェンスにぶつかり、苦しむソラにヒカリは詰め寄ってくる。
ヒカリの手が、ソラを地面に押し付ける。
「面白いことを考えたんだ」
ヒカリが無邪気な笑みを見せる。ソラは、抵抗したが、ヒカリの手は離れない。
「離せ!」
ソラが怒鳴ると同時に、何発目かの衝撃が、身体を襲う。
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