4/8
前へ
/8ページ
次へ
「ほな、ウチ帰るわ。お金置いていくな」 何かを思いついたように、ぱっと私の頭から手を離し、莉奈は足元に置いてある鞄の中を漁った。 中から財布を取りだすと、さっと一万円札を取り出し伝票の上に置いた。 「ウチが悪いわけやないけど、これは口止め料いうことで置いていくわ。コーヒー代差し引いても、9000円は残るやろ?それで新しい鞄の一つは買えるやろ」 莉奈は私の足元に置いてある色褪せた鞄に目を向けた。 その眼差は哀れみと優越の色を放っていた。 .
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加