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幻覚の恐怖から逃れるかのように、気がつけば私の足は勝手にある場所へ向かっていた。
駅の近くの公共団地の隣にある、簡素な公園。
ぽつりと置かれたベンチと寂しげに風に揺られているブランコ。
"それ"は遊び相手がほしいかのように語りかけてきた。
ブランコを通り過ぎ、端っこに置かれた錆びれたベンチに腰かけると、鞄から携帯を取り出し、いつものように、隆に電話をかけた。
「もしもし」
電話の中から聞こえる低く、安定感のある隆の声に安心して、目元からは自然と涙が溢れ出てきた。
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