いち

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「じゃあ早く力を頂戴」 いつもそんな簡単に話すことがないのに 勢いと底から湧きあがるわくわく感に乗せて いつもより高めのトーンで聖魔君をせかす。 そんな僕は気持ち悪いくらいに頬が緩んでいる気がした。 心無しか少し頬の赤い聖魔君 どうしたんだろ 「じゃあ星那瞳を閉じて」 「うん」 言われた通り瞳を閉じると暗闇が一面に広まる。 広がる暗闇がやっぱり怖くて少しだけぎゅっと手に力が入った。 瞳の外で、ごにょごにょと何かを呟いているのが耳に入り込んでくる。 そして、冷たい手が私の前髪をかきあげた。ひゃっと思わず声がこぼれる。 くすりと笑うと低い声。 この冷たい手は聖魔君のなんだ。やっぱり魔王だからこんなに寂しそうで冷たい手なのだろうか 「力を今授けよう 星那力を抜いて、いくよ」 聖魔君が手が僕の髪を優しく撫でると、無意識に入っていた力をふっと抜けた。 ふいに、僕の額に柔らかい何かがふれる。 その刹那、 体の奥の方がすぅーと熱くなっていく そして、膨大な量の知識が脳裏に広がっていく。 痛い、辛い、苦しい。 幾年にも続く【----】の長い歴史が僕の脳内に入り込む。 あそこに座っている 女の子は誰? そこで僕の思考は途切れた。 .
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