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瞳を開くとそこには
大きな本棚や
大好きなアニメのポスターも
真新しい学校の制服もなにもない
真っ白な部屋。
「目が覚めたかい、星那」
まだぼんやりとしている中、優しげな低い声と綺麗な金色の髪が瞳に映る。
「ひじりまくん」
小さく呟いた僕の声を聞いて彼ははぁーと安堵の息をもらした。
「僕の記憶の受け渡しをしていたとき、君は倒れたんだ
人間である君には少し負担が大きかったみたいだ
アルカナでの必要な知識は入っていると思うけど大丈夫かな」
そう心配そうに、聖魔君は僕の方を見る。
そして彼は、まるで脆くて弱いなにかを扱うように優しく僕の頭を撫でた。
ほんの少しヅキヅキと響く頭痛、心配してもらうほどそれほどに深刻ではない。何より、知らない魔法の知識があってこれからの事を考えるとワクワクが止まらなかった。
「大丈夫」
ニコリと自然に笑って答えた
よし、最初はギルドにいこう。
僕のスルースキルのレベルはきっと高いだろう。
視線を向けたその先には、ドアの影からひたすら聖魔君と僕の方をちらちらみている派手で邪魔な、蛍光ピンクと緑縁メガネのチャライヒト。
「何で無視するんだよぉ
聖魔君、星那ちゅわん」
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