11時

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母親の声で目が覚める 携帯を見た 今は11時だ ゆっくりと、リビングに下りる そしてテーブルに座る 弟もいた 普段なら弟は11時から仕事のはずだ 今日は仕事は?と聞いた 休み、と答えた 今度は母親に、マー君は?と聞いた 後ろに居るよ、と答えた 後ろを振り返るとマー君が居た 聞けば弟と一緒に寝ていたらしい マー君はダンボールの中で、ひなたぼっこをしている体制で、腹を見せ、そこに、居る 背中を撫でると、冷たく、固いが、最高の毛並みだった おそらく、世界中の猫の中でも、ここまで毛並みのいい猫はいないだろう 涙が勝手に零れてしまった 顔を見ると、猫が眠くなって、眠るすんでに見せる、目の内側の膜が半分ぐらい掛かった状態だった 少し笑ってしまう 猫を持ち上げると、体勢がそのままの状態で持ち上がった その時母親が、あんまり持ち上げるとおしっこが出るよ、と言った 死んでしまっている こんなに綺麗でも死んでいる 何回か背中や、頭や、顎を撫でた だが、永遠に撫で続ける事は、自分に酔っている事のように思えた 猫の為ではないし、猫の事を思っての事ではない、ように思えた マー君をダンボールに戻して、トイレに行き、少し泣いた トイレから出ると、また少し撫で、そろそろ、と言った
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