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最初に『それ』に気付いたのは、小学校低学年の頃だった。
いや、そもそも気付いたと言えるほど当時の私は『それ』に大した疑問や不安は抱いていなかったのだろうが、他の子供達と比較して何かが違う、ということくらいは子供ながらに理解出来た。
両親に聞いたところ、『それ』に初めて違和感を覚えたのは、私がまだ赤子だった頃らしい。
計算すると、私の『それ』が発覚したのは今から十五年も前の話。
まぁつまり、私は欠片の自律性も持たない幼少時代から『それ』で両親に負担をかけていた、とんだ親不孝者というわけだ。
両親が『それ』について私に何も明かさなかったのは、私に無駄な負担をかけたくなかったからなのだと思う。
ただ単に子供に話せるような単純明解な話ではないから、とも解釈することは可能だが。
ちなみに、これは言うまでもないことかもしれないが、私は今でも『それ』に悩まされている。
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