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雷の轟音が聞こえる。
朔夜、劫癸、湊杜が音の聞こえてくる方を見る。
まず、目に入ったのは土煙と燃え盛る木々。
そして、白い着物の3人の男。
「術士か……!?」
男達は数珠を掲げ、雷を作り出していく。
朔夜の脳裏であの夜の光景が浮かんだ。
「劫癸、行くよ!」
「ああ」
2人は刀に手をかけ、走り出した。
「姫さんは武器庫の陰に隠れてて!」
朔夜は独り残された。
とりあえず言われた通りに武器庫の陰に隠れる。
そっと様子を窺うと、光の矢を2人が剣で打ち払っていた。
あまりに矢が多く、2人は少し離れた所にいる術士に近づくことができなかった。
(2人共……疲れてる)
だんだん刀を振る速度が落ちていく。
そして――。
「……っ」
「湊杜!」
湊杜の右肩に矢が刺さった。
術士の攻撃は更に強くなり、湊杜は地面に膝をついた。
(このままじゃ2人が……!)
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