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「姫さん……」
湊杜は朔夜の部屋の前に立ち、声をかける。
「……」
返事はない。
湊杜はため息をついて、その場を離れた。
あの日――朔夜が人を殺した日から3日が経っていた。
神社で自分のした事を知った朔夜はずっと俯き、黙っていた。
目は見開かれ、小刻みに肩が震える。
動けない朔夜を、劫癸と湊杜は何とか連れ帰ったのだった。
そして朔夜は部屋から出てこない。
食事は劫癸と湊杜が運んでいるが、全く手をつけない。
「どうしようか……」
「待つしかないだろう……」
縁側に座り、劫癸と湊杜は話している。
「でも……あのままじゃ姫さん……!」
「……わかっている」
この状態が長く続けば、朔夜が壊れてしまう。
でも2人にできることは、無かった。
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