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朔夜は膝を抱えてうずくまっていた。
「姫さん……」
(湊杜だ……)
外から声がかけられる。
でも、朔夜は応えなかった。
怖かった。
人と会うことが。
また、斬ってしまう気がして。
手が勝手に動いて、剣を取って……。
あの感触がまたよみがえって、朔夜は膝を抱える腕に一層力を込めた。
(このままじゃ駄目……でも……)
家から持ち出した髪紐を握りしめ、朔夜は自分を奮い立たせた。
(大丈夫……父様と母様が守ってくれる)
朔夜は顔を上げた。
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