プロローグ

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「本、好きなんですか?」 目の前には、知らない男の子。 …嫌、違う。 声は…顔は…知っている、男の子。 「あっ、えと…はい?」 私はその声に少し、ほんの少しだけ、戸惑う。 「そっかぁ。…なんか震えてる?」 彼は私の顔を覗き込みながら、可愛らしく小首を傾げる。 「っ…」 あぁ、私の性格をどうにかして欲しい…。 私はなにも言えずにただ、首を左右に振った。 「椿先輩」 「え」 名前も教えていない筈の、私の名前を彼は呼んだ。 彼の名前を私は知らない。 「真白椿先輩、でしょ? …違いました?」 「いえ、そうじゃ、なくて…。 あって…、るよ」 私の反応に彼は不思議そうにしながらもニコッと微笑んだ。
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