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腕に巻かれた包帯と頬に貼られた絆創膏。
さっきまで涙が伝わった頬はもう冷えて乾いていた。
「さむいなぁ…」
頬を撫でていく風にぽつりと呟く。
寒いのは体?それとも僕のこの心だったっけ?
…そんなことどうでもいいか。
高い高いこの場所から、下を見下ろせば下で騒いでいる生徒たちが見えた。
なんだかひどく混乱していて、うぞうぞと動くその様はまるでゴミのよう…。
そう思っては知らず知らずのうちに唇を歪めた。
…そろそろ幕をおろそう。
すぅ、と息を吸って、とん、と僕はその場から足を踏み出した。
抜けるような青空。じんと鼻が冷たくなるような空気の中。
僕は目を瞑り、空を飛んだのだった。
ああ、そういえば。
今日は僕の誕生日だったっけ。
落ちていく落ちていく、意識、ふと思い出したのはまたどうでもいいこと。
なんて陳腐で滑稽なんだろうか。
「ハッピーバースデー、僕…」
最後に口ずさんだ言葉にポロリと涙がこぼれ僕は地面に叩きつけられた。
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