℡001

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かつて枕だった長枕を クッションがわりにしてよりかかるのも時間がたつと 妙に疲れてくる。 手元にあるマグカップには クリスマスの日に恋人のために 用意したミルクティーが入ってる、 せっかく用意しておいたのに ミルクティーを持参してきた彼に 腹立った事すらもう忘れていた。 冬休みに入って何日たった 丁度1週間たったと思う。 冬休みの始めには部活で クリスマスパーティーをした、 次の日には買い物にでかけて 彼の家族に出会ったから挨拶をした、 まさか母親同士が 知り合いだったなんて。 次の日のクリスマスには彼が家にきた。 模様替えをしたばかりだった、 新品のにおいがする布団に包まれながら セックスをした。 クリスマスプレゼントには ピンクのくまの人形をもらった。 それから風邪を引いて部活を休んだ。 なにもすることのない日が 夜空を駆ける流星群のように 流れていった。 獅子座流星群も双子座流星群も 両方見逃した。 見逃したというより 起きてはいたが、 星たちはこんな自分のためだけに 流れまいと言うような 私には姿を見してはくれなかった。 月食は人生で初めての経験だった。 消えて行く月は 見れば見るほど赤いような橙のような 不思議な化粧を纏っていった。 月のあかりが無いせいか 回りの星たちはいつもよりはっきり見える。 スパンコールのような輝きを放ちながら 私はその光に見とれていた。 恋人と電話をしながら 次の月食は一緒に見よう、 30年後の日には子供をつれて 思い出話をしながら見ようと約束した。 今日は何をしようか、 ミルクティーが無くなる。
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