幼い日々

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別れまであと3日。 この日、沢山の書類や署名を書かせれた。 おかげで腕が痛くなった。 そして夜9時、聖知が帰っていった。 『はぁ…………やっと終わった!!!』 『ねぇ翔性?』 『ん?どうしたの?』 『ここのおうちはどうなるの?学校は?』 『おうちはママが住むからそのままになるよ。学校は………』 『学校は?』 『多分行かないか、心当たりのある学校がひとつ。キング・アーサー学園っていう学校。』 キング・アーサー学園。 後に私が小、中、高と掛け持ちで通う学校だ。 この市田美性という名を使って。 私は兄に聞いた。 『そこってどんな学校なの?』 『俺も小学1年の9月まで通ってたけど、王家の人しかいなくて偽名を名乗って本名や国の話をしちゃいけない学校だよ。』 『大変な学校なんだね。』 『うん、それから美性は2日後から、風谷凛々杏という名前に変わるよ。間違えずに名乗れるようにね。』 『じゃあさっき凛々杏って聖知が言ってたのは!!』 『美性、お前の本名だ。』 この時私は初めて自分の本名を知ったのである。 それからは風呂に入って寝た。 ただ、寝ている間に幼い頃の記憶がよみがえる。 父は笑顔で『凛々杏』と言っていた。 なぜわすれていたのだろうか………… そう思いながらも私の意識はもうろうとしてくる。 別れは迫る。 時は流れる、刻一刻と。 別れまであと2日。
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