幼い日々

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そんな今日は兄と優也と正広で最後の思い出を作ることに決めた。 行き先は、ハミング(光の国)にある遊園地。 ジェットコースターのようなかんじの空をすごい早さで駆け抜ける乗り物、光を頼りに脱出するゲーム、お化け屋敷みたいな科学館、空飛ぶブランコ、観覧車、360°回転するバイキングなどどれも楽しかった。 お昼ご飯を食べていると、兄が正広と優也に本当のことを話始めた。 王家追放者であること、養子として王家に戻ること、そしてこれは私も初耳だった。 『実は俺ら2人と蘭丸はノイ三大戦士および天界五大戦士なんだ。』 私も含めて驚いた顔をした。 そして、正広は何かを考えるような表情をした。 しばらく考えるような表情をしていたがやがて『なるほど……』と言いながら顔を上げた。 『実は俺らも隠していたことがある。』 このあと聞いた言葉は私達の想像を遥かに越えるものだった。 『俺ら2人も五大戦士だ。優也はネイクレム、俺はアクアの。』 ーーーーーどういうことだかさっぱりだった。 『2人は兄弟だよね?』 思わず聞いてしまった。 『そうだよ。』 『じゃあなんで違う力を持っているの?』 『……………俺らの親はアクアの三大戦士とネイクレムの三大戦士なんだ。だから多分片方ずつで似たんだな。』 ………ということは私の父と優也のお父さんは同じ仲間だったということになる。 『俺らの今の母親は、アクアから送られてきた使用人で本物じゃない。俺らは研修と称してここに連れてこられたんだ。でもやっと今理解できた。』 王家の陰謀だ、と。 4人が出会ったのは偶然ではない、と。 すべてが仕掛けられていた。 そんな秘密を知ってしまった。 その日、そのことを考えながら優也と寝ようとした。 でもやけに優也の様子がおかしい。 優也に触れてみる。 するといきなり手をつかまれた。 そしてこう言う。 『美性、ずっと好きだった。美性は?』 びっくりした。 戸惑った。 しかしその反面落ち着く自分がいる。 私もきっと優也が好きだったんだ……… そして言ってしまう。 『美性も優也がずっと好きだったよ。』 『うれしい。泣きそう。』 そう言うと、静かにキスをした。 きっと最初で最後のキス。 その夜、私は優也の胸で眠った。 時間は迫る。 別れが刻一刻と近づく。 明日は別れの日。
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