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別れの日。
聖知が私達2人を迎えに来た。
私は昨日考えていたせいで王家の陰謀がコワイ。
行く前に子供のように何度も駄々をこねた。
兄と聖知はそれを必死になだめた。
出発の1時間前、優也といた。
お互い手を離そうとしない。
離したくない。
今この手を離したら永遠に会えない気さえした。
そしてついに別れの時がやって来てしまった……
『美性、頑張るんだぞ。大変だと思うけどあんまり翔性ばっかに迷惑かけるなよ。』
と正広が私の頭を撫でながら言う。
…………それがかなりのプレッシャーだった。
一応王家の礼儀作法はできるが、どうなることやら……
そして優也。
『………頑張れよ。美性はひとりじゃないから。ペアリングもあるから大丈夫だよ。きっと美性を守ってくれる。』
そう言うと、静かに手を離した。
涙が溢れてきた。
聖知
に手を引かれて歩き始める。
一度だけ振り返ってみた。
優也と正広が手を振っている。
優也は『振り返っちゃダメだー』と叫んだ。
私は前を向いた。
もう明日からは会えない。
考えられない………
いやだ、いやだと思うけど今王家に戻らなければ迷惑がかかるのは私達2人だけではない。
もう暮らしてた家は見えない。
そしてついに城に入る………
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