幼い日々

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それは王家の使用人。 兄の王家にいたころ、兄の世話をしていたメイドらしい。 羽野聖知(はのせいしる)と名乗った。 兄も覚えていたみたいだった。 そして彼女は話始めた。 『今日話に来たのは他でもない、お2人のお母様のことです。』 ズキッ 私の心が痛む。 あの日の悪夢がよみがえる。 『美性、ちょっと二階にいて。』 兄は言った。 私が席を立とうとしたとき 聖知(彼女)はこう言った。 『凛々杏様、辛いのもよくわかりますがお2人にお話があるのです。どうか退席なさりませんよう。』 『…………は?り…り…あん?』 私はまだこの頃王家での自分の名前を知らなかったので、とぼけてしまった。 聖知は驚いたように兄を見た。 兄はうなずく。 『……………美性様、失礼いたしました。さて、本題に入ってもよろしゅうございますか?』 『…………どうぞ。』 『まず、お母様が家庭放棄及び子供に対して性的虐待をしている、と』 『はい、そうです。』 『それでこのままではお2人に悪い影響があるのを王家は放っておけないと。』 ……追放したうえに、今の今まで放っておいて王家はなにを言ってるんだ、と思った。 『それで今からお話しするのは救済策です。申し訳ございませんが、お2人に拒否権はございません。』 このあと、救済策と呼ばれたこの案は王家最大の秘密を作ることになる……
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