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東雲宮二十一歳、あたしは俗世間でいう自宅警備員とは名ばかりのニートだ。職を失って約二ヶ月、それはそれはだらけきった生活を送っていた。
二ヶ月前まではそれでも仕事が楽しいと思えていた。社会に嫌気がさしたのにもそれなりの理由があるわけで。
「宮の気持ちも分かるけどさ、ずっとこのままでいいわけ?」
「良くないとは思ってるけどさ……」
今思えば運がなかった。
高校卒業と同時に入った広告会社では、仲の良かった先輩に大きなミスを押しつけられ、汚名をきせられたまま解雇。
信頼していた人間に裏切られ流石に落ち込んだけど、このままじゃいけないと再就職を始めたのは大手の化粧品会社。
新境地で頑張ろうと思っていた矢先に上司からセクハラを受ける。我慢をしていたあたしを待っていたのは、あたしから誘ったという尾ひれがつきまくった噂。
好奇の目に耐えきれず二度目の務め先も辞めてしまい、今に至る。
「どこに行ってもあたしなんか……」
理不尽な目に遭う、そうに決まってる。
勝手に決め込んでシュンと項垂れるあたしの頭に伸びてくる弟の手。
流石はマイブラザー、乙女心を分かってらっしゃる。ここはよしよしと頭を撫でて……
「いったあああ!!!」
慰めてくれると思っていたあたしの期待を見事に裏切って、チョップをくらわしてきた弟。
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