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「これもいいよ。」
結局、2人は知らない街の路地へと入りデパート売り場で時間を潰した。
真優が立ち寄ったのは5階のCDショップだった。
その間、以往(Iou)は小さな喫茶スペースで煙草を吹かしていた。
「また、コーヒー?」
「あぁ…済んだか?」
「うん。」
車に乗り込んだ以往(Iou)は今まで聞かずにいた質問をふと真優にしてみた。
「お前、帰らないのか?」
「…………帰れないの。」
「そうか…」
その日、以往(Iou)と真優はビジネスホテルの二部屋を借りて過ごした。
しばらくして荒れ始めた空は治まることを知らず、辺りを呑み込んでいった…
コンコン…
「真優、起きてるか?」
「…………。」
「入るぞ。大丈夫か?」
真優を心配して入った部屋は暗く、以往(Iou)が入った途端窓の外に閃光が走った。
「ひゃぁ!!」
「…大丈夫だ」
気づいたら真優は以往(Iou)の腕の中で嵐が治まるまでの間、強く抱き締められていた。
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