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「…ふぅ。完成…!」
そんな視線を意に介することも無く。ジークは全ての工程を完璧に仕上げ、一種の芸術にまで昇華された”結果”を前に、満面の笑みを浮かべたのだった。
1人の少女が入り口から顔を覗かせたのは、そんな時である。
「こんにちはー。準備出来てる?」
法崎かおるだった。地下へと続く隠し通路を経て、他のメンバーに先んじて”会場”へと辿り着いたのである。
歓迎会のメインディッシュの出来を、主催者として確認しに来た彼女に対して、満面の笑顔で答えるのはジークだ。
「たった今終わったよ。いやぁ、最高級の設備が揃っていて、実に腕の振るい甲斐があったよ」
「そっか、それは何より…で……………………?」
笑顔を返そうとしたところで、ジークと顔を合わせることになったかおるの目が点になった。
本来であれば持て成す側であるはずの人物が、率先して料理に腕を振るっている光景を見せつけられたのである。困惑しない訳が無い。
「……えぇと。大神ジーク、さん?」
やや自信なさげに問い掛けるかおるに、ジークは満面の笑顔で頷いた。
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