第二章 不安

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「そうだよ。いやぁ、招待して貰えて良かったよ。まさかこれほどの環境で料理をさせて貰えるなんて、夢にも思わなかったからね」 「…あぁ、うん。私もまさか、こんなことになるなんて夢にも思わなかったんだけどね」  招いた客に持て成しの為の料理を作ってもらうという、割と本末転倒な事態を目の当たりにして、かおるは若干表情を引きつらせていた。  が、それでも相手の満足そうな表情を見て、相手が喜んでくれているならいいかと割り切れる辺りが、彼女が彼女足り得る所以でもある。  故に細かいことは思考の隅に放り出して、料理の準備が整ったという条件のみを受け入れた上で、かおるは更に言葉を続けた。 「とりあえず…これで準備は全て完了って訳ね。じゃ、大神さん…」 「ジークで構わないよ」  本人にそう言われては、かおるとしても従わない理由は無い。 「じゃ、ジークさんもそろそろ、会場の方へ移動して下さいね。他のメンバーもじきに到着するので」  その一言に、何やら物足りなそうな表情を浮かべて周囲の料理に視線を向けるジーク。 「そうかい? 配膳まで手伝おうかと思ってたんだけど」 「流石に、お客様にそこまで出来ないですって。こちらへどうぞ」  かおるは苦笑交じりにジークの背後に回ると、急かすようにその身体をぐいぐいと押し始めた。
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