第二章 不安

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『お前も動けないんだろ。今日の所は俺に任せておきな』  少なくとも何事かが起きていることが確定していない以上、彼女に出来ることは何も無い。ならば当人が主催する行事を疎かにする訳にもいかない。  何より、通信機越しに会話するセイバースターに対しての信頼は、決して低いものでは無かった。 「お願いね。もしどうにもならない時は、遠慮なく連絡してくれて良いからさ」 『了解だ。じゃあな』  端的に返事を返された後、通信は途切れる。オペレータもまた、事務的に数度言葉を交わしたのち、甲信を終了した。  自らも通信を切ったかおるは、僅かに俯いてため息を零す。 「…………どうにも嫌な空気ね」  ぽつりと呟いた、その時である。 「お話は終わったのかな?」  目前に直立したまま、笑顔を浮かべて立っているジークの一言に、かおるは我に返った。
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