第三章 紹介

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 その時。 「はい、とうちゃーく!」  聞き覚えのある少女の声に導かれるままに、向かいの扉へと視線を移す。 「ここが会場かい? 思ったよりも随分と広いんだねぇ…掃除のし甲斐がありそうだ」  紅いエプロンを着た青年とそれを背後から押す少女の二人が、つい今しがた到着したところであった。  その少女、かおるは向かい側に立つ鈴奈と志狼に気付いたのだろう、ニッコリと人懐っこい笑顔を浮かべながら手を振って見せる。 「あ、2人とも。ちゃんとここまで来れたんだね、安心したよ~」  その屈託のない表情を目にして、ようやく緊張感が薄れるのを自覚する鈴奈。  ただでさえ人見知りする彼女である、見知らぬ場所にいるということが、無意識の内に緊張状態を維持させていたのだろう。
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