第三章 紹介

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「正式な自己紹介がまだだったよね。私は法崎かおる。大富豪、法崎源一の孫娘っていうのが表向きの肩書」  顔立ちに幼さを残しつつも、年齢に見合わない、底の見えない落ち着きを見せるその姿には、ある種の迫力や威圧感と言ったものを感じさせる。  気圧されたとは思いたくない志狼は、平静さを乱すことなく切り返す。 「……表向き?」  かおるは無言で頷きながら、次なる言葉を紡ぐ。  すなわち、今の自分自身の立ち位置となる”裏の顔”の詳細を。 「地球防衛と人命救助の為に新たに設立された秘密組織。”勇者救命隊”の隊長を務めているのよ」  そう言ったかおるの表情に浮かぶのは、先ほどと変わらない屈託のない笑顔のまま。  だがその表情の影に、言葉では言い表せない程の鋭い気迫を感じるのは、決して気のせいではなかったのである。
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