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洋館にある広く仄暗く、中世ヨーロッパの宮殿を模した部屋。
湿気に満ちた部屋に存在する優雅さや華やかさを隠す乾いた闇は、この世のものでない者の住処にふさわしい雰囲気をかもし出している。
男が独り黒いソファーに深々と座っている。
館の主だ。
突然扉が開かれて女が入ってきた。
リリアーナである。
「伯爵様、大変です」
「なんだ騒々しい。いったい何があった」
「あいつらの力が、変わりました」
伯爵の眼が大きく見開かれた。
「変わった。それはいったいどういうことだ。どう変わったと言うのだ。
まさか強くなったとでも言うのか?」
「それが全くわかりません。とても信じられない事ですが、変わったという事ははっきりと判るのですが、何がどうかわったのかは、私には何も判らないのです。
しかしあいつらの中で何かが確かに、それも大きく変わりました。それだけは間違いありません」
「なんだと! リリアーナ。あいつらが変わったという事はわかるのに、なにがどうかわったのかが、まるで判らないと言うのか。
……こんなことは今まで一度もなかったことだな。実に由々しきことだ」
伯爵が何かを懸命に考えている。
そのまま心配そうに見ていたリリアーナが、おそるおそる声をかけた。
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