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「先ほど申し上げましたように、全ての源となった者です。
仲間、というより下僕達と言ったほうがよろしいのですが、その者たちからは普段は伯爵様と呼ばれているようでございます。
しかしもう一つの呼び名がございます。
普段はあまりにも恐れ多くて下僕達でさえ口に出すのをはばかる、半ば封印された呼び名でございます。
その呼び名は“ドラゴンの子”でございます」
「ドラゴンの子! ……だって」
龍夜が叫ぶような大声をあげた。
二階堂が思わず龍夜を見る。
その表情には明らかな驚きの色が現れていた。
ゆづきがゆっくりと噛みしめるように言った。
「はい、龍夜様、ドラゴンの子でございます」
思わず中腰になっていた龍夜だが、やがてどたりと床の上に腰を下ろした。
そして力なくつぶやいた。
「ドラゴンの……子。……よりによって……ドラゴンの子……ってか」
二階堂が激しく首を振り、龍夜とゆづきを交互に見た。
「おいっ、いったい何なんだ、そのドラゴンの子、とか言う奴は?」
ゆづきが努めて静かに答える。
「それに関しましては、いくら二階堂様でも、申し上げることはいたしかねます」
龍夜が、強く吐き出すように言った。
「ドラゴンの子は、ドラゴンの子さ」
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