第九章  最強の敵

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「どうしましょう。伯爵様」 伯爵がリリアーナをしっかりと見た。 「このままほおっておくと、事態がややこしいことになるやもしれぬ。 そういう事にならないよう、何か早急に事を起こさねばなるまいな。 そうと決まればこの事態の決着は、案外と早いかもしれぬぞ」 そう言うと伯爵は、にまり、と笑った。 それは氷のように冷たい笑みだった。        ・ 龍夜のバイクが、住みかである神社に戻った。 龍夜はバイクから降りると、そのままものすごい勢いで石段を駆け上がり、その勢いのままゆづきの前まで来て、尻からドンと大きな音をたてて座ると言った。 「ゆづき、お前に聞きたいことがある。正直に答えてくれないか」 「……はい、龍夜様」 ゆづきは返事をしたが、それは消え入りそうな声である。 龍夜がそれにかまわず続けた。 「言いにくいとは思うが、あいつらの残りとこの俺と魍魎丸、いったいどっちが強いのか、はっきりと答えてくれないか」 「……残りの三人は、先ほども申し上げましたように、今まで戦った相手より、数段強いようでございます」
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