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「それがあの強さの秘密かは知らんが、もう一度聞く。
"アレ"は何なんだ?」
カインの眼の先にはリンヤがいる。
だが、その眼は人をみる眼ではない。
なにか、異物を見ているような。
「・・・・・知らねぇ。アイツとは俺もつい最近会ったばかりだ」
「そうか」
わかりきっていたのか、アッサリと答える。
「・・・でもなぁ、カイン。リンヤはリンヤだ。お前がアイツをどう思おうが勝手だが、俺はアイツをいいダチだと思っている。
確かにその話は不気味だが、俺はそんなの気にしないぞ」
「だろうな。そんなのわかりきっている。それがお前だ。
まぁ、俺はお前ほど良く出来ていない人間だからリンヤ君を疑うがな」
「だろうな。それがお前だ」
もし、カインとダイルの素性を知らない誰かが見ていたとすると、一見お互いに嫌悪感を抱き、うんざりしているように見えるだろう。
だが、違う。
お互いを理解しているからこそ。
この程度の意見の相違、彼らはなんとも思わない。
お互いの道を歩むだけ。
「・・・話は終わりだな。俺らもリンヤのとこに行くか」
「あぁ、そうだな」
何もなかったかのように、彼らは面白そうに話をしている黒髪の少年のところへ行く。
―――――――――
「あー、疲れたぁ!」
ボフッ、とベッドにダイブする。
全く。デーモンの話をしただけで皆あんなに感動するとは。
5割は嘘だというのに。
というか、なんやかんやで他の見知らぬ人たちにも絡まれたり質問されたりで今は23時だ。
もはやネットをする気力もない。
「あー、着替えるか・・・」
よく見るとベッドに学ランが畳まれて置いてあった。
洗濯がされており、いい匂い!
「燕尾服は・・・明日出るときに渡すか」
ここまで眠いのは久しぶりだ。
京介と共に2日ぶっ続けでアニメを見た時以来だ。
「明日から旅か・・・。楽しみだぜ」
そんな期待感を胸に、いつの間にか眠りについてしまった。
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