勇者は臨也?

3/56
前へ
/772ページ
次へ
―――――――― ―――――― ―――― 「あぁ?天界が騒がしいな。まさか、今更神共は異変に気づいたのか?」 不機嫌そうに言葉を放つ者が一人。 そこは、真っ白い空間と表現するのが的確か。 だが、色も何もないとも取れるこの空間はまさに摩訶不思議なところだ。 そんな場所で不機嫌な声を放ったのは、黒い者。 肌が黒いとか、そんなのではなく文字通り黒い。 まるで、影を立体化させたようだ。 そう、ここまで特殊な特徴を持つ者はたった一人。 臨也を異世界に送り出した張本人の自称神である。 「まぁ、あんな奴らは放っといていいか。それよりも・・・」 そう言う影の視線の先には、3Dのモノグラムのような立体映像がある。 そこに写っているのは、森を歩いている少年少女達。 園崎 臨也たちだ。 「ククッ、いい感じの方向に進んでるじゃねぇか・・・。俺の目に狂いはなかったな」 そう言う影の目は、といっても眼球があるわけではないが。 とにかくその目には、新しいおもちゃを与えられた子供のような目だ。 最も、そんな穏やかではないが。 「にしても、園崎を送り込んだ瞬間に『アレ』は出来ているはずだよな・・・。 まだ慣れていないのか?ま、時間はかけてくれたほうが助かるがね。 オレ的にも、園崎的にも」 ククッ、と不敵な笑いを漏らす。 「それに二人も"異変"に気づいてるみたいだ。 これは嬉しい誤算だな」 「もう少しで神共も動き出す頃か・・・。 いいねぇ、盛り上がってきたじゃねぇか!」 影の声が荒がる。 「ここからが本番か。 さぁて、その『世界』はお前にくれてやる。殺すも生かすもお前次第だ。せいぜいオレを楽しませろよ? 園崎」 そして物語は始まる。 ゆっくりゆっくり、だが確実に動き出す その結末は最悪か。 それともハッピーか。 結果なんて、誰も知りはしない。
/772ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67757人が本棚に入れています
本棚に追加