3/5
前へ
/10ページ
次へ
『俺ん家来なよ!』 「え…?」 『てか、決めた!俺ん家住むの決定!』 えぇえええ?! 「や、気持ちは嬉しいですけど…色々問題ありますしっ」 『じゃあ、どこに住むの?お金は持ってないしご飯もありつけないよ?』 う…。 もっともだった。 記憶だけではなく、私には家もお金もない。 『おれん家さ、使ってない部屋一つあるし。そこ使えばいいよ。とりあえずバイトでもしてお金貯めるまで住みなよ』 「で、も」 見ず知らずの人に そこまでしてもらうの? 『それとも、野宿する?』 さっきとはうってかわり 悪戯な笑みを浮かべる藤原さん。 私に選ぶ権利はない。 そもそもこの申し出は私にとってすごく都合のいいもの。 「じゃあ…お金貯まるまでお願いしてもいいですか?」 『全然オッケー!決ーまりっ』 でも、いいのかな。 知り合ったばっかなのに… 決まった後も私の心の中は 心配でいっぱい。 どうやら、私はマイナス思考。 すると。 「?!ひゃっ…」 『しかめっ面似合わねーよ♪』 なんて言って私の頬を手で両端に引っ張っている。 こ、この人はぁぁ。 『あはっ、美人が台無し!』 「崩したのは誰ですか~!」 ちょっと怒ったように、でもこんなやり取りが可笑しくて私は笑みをこぼした。 『…やっと笑った。』 「藤原さ…?」 『俺がさ、面倒見てやっから。心配すんな?』 その言葉で思わず涙が出そうになった。 「何でそんなに…優しいんですか?」 『俺の性格上、困った子は放っておけないんだよね』 「ふふっ…優しいですね」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加