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『俺ん家来なよ!』
「え…?」
『てか、決めた!俺ん家住むの決定!』
えぇえええ?!
「や、気持ちは嬉しいですけど…色々問題ありますしっ」
『じゃあ、どこに住むの?お金は持ってないしご飯もありつけないよ?』
う…。
もっともだった。
記憶だけではなく、私には家もお金もない。
『おれん家さ、使ってない部屋一つあるし。そこ使えばいいよ。とりあえずバイトでもしてお金貯めるまで住みなよ』
「で、も」
見ず知らずの人に
そこまでしてもらうの?
『それとも、野宿する?』
さっきとはうってかわり
悪戯な笑みを浮かべる藤原さん。
私に選ぶ権利はない。
そもそもこの申し出は私にとってすごく都合のいいもの。
「じゃあ…お金貯まるまでお願いしてもいいですか?」
『全然オッケー!決ーまりっ』
でも、いいのかな。
知り合ったばっかなのに…
決まった後も私の心の中は
心配でいっぱい。
どうやら、私はマイナス思考。
すると。
「?!ひゃっ…」
『しかめっ面似合わねーよ♪』
なんて言って私の頬を手で両端に引っ張っている。
こ、この人はぁぁ。
『あはっ、美人が台無し!』
「崩したのは誰ですか~!」
ちょっと怒ったように、でもこんなやり取りが可笑しくて私は笑みをこぼした。
『…やっと笑った。』
「藤原さ…?」
『俺がさ、面倒見てやっから。心配すんな?』
その言葉で思わず涙が出そうになった。
「何でそんなに…優しいんですか?」
『俺の性格上、困った子は放っておけないんだよね』
「ふふっ…優しいですね」
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