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そう笑って言った私に藤原さんは頭をポンポン撫でた。
…ドキドキしちゃうよ。
『検査の関係であと1週間入院してもらいますね』
すっかり忘れてた、医者の存在。←
「あ、はい!」
悟られないよう、元気に返事をした。
そして診察室を後にし、藤原さんと二人で病室に戻った。
『そういえば、なぁ』
思い出したように藤原さんが言った。
「?なんですか?」
『名前、わかんないよな?』
それは、私の名前のこと。
そういえば…。
「わからない、です」
悲しかった。
何で自分の名前が分からないのかな…
『ならさ、俺決めたよ』
「え!早いですね…」
それより…
私の選択権はなし?笑
『桜。今日から桜、な』
「さくら…」
可愛い名前。嬉しい。
『外見て』
藤原さんが笑顔で指差したそこには…
「わぁ…綺麗」
窓の外には満開の桜の花。
それは感動せざるを得ない美しさだった。
『桜がいっぱいの日に出会ったから桜。それと…』
少し躊躇い彼は言った。
『桜と同じくらい、君が綺麗だから』
…あぁ、胸がうるさい。
こんなのお世辞に決まってるのに…
「ありがとう、ございます」
照れて藤原さんを直視出来ない私は、ぶっきらぼうにそう言った。
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